阪急ブレーブス通信

〜阪急ファンで行こう!EVOLUTION〜

阪急ブレーブス屈指の逆転劇(逆転満塁サヨナラ弾)はこうして生まれた

 
2013年頃、オリックスでは「バルディリスが満塁ホームランを打つと負ける」。そんなジンクスがありました。本来、野球の華である満塁ホームランが出ればたいていは試合に勝てる状況であるはず。少なくとも福良コーチ(当時)は「負ける」なんて教えてはいないでしょう。

 
打つならサヨナラ満塁ホームランだったらなお良い。それなら負けようがないじゃないか。

 
それを自ら体現したのが他ならぬ福良前監督。この阪急ブレーブス最終年の、屈指の逆転劇をプレイバックしましょう。

 
【年代背景】
1988年は主力選手の相次ぐ故障やケガ、それに加え抑え投手の不在と、年間を通じて波に乗ることができなかった阪急ブレーブス。ただし、この頃黄金期を迎えていた西武ライオンズに対しては意地を見せ、年間を通じて五分の戦いを繰り広げていました。

 
そんな中むかえた7月の三連戦。後にオリックス時代にも引き継がれる7月末の西宮球場での西武3連戦は、1年を通じて最も盛り上がるシリーズの一つです。

 
【7月30日の試合経過】
阪急・山田、西武・東尾のエース対決。西宮球場には4万人満員の観衆が詰めかけました。両者とも晩年を迎えている(山田はこの年で引退)とは言え、お互いに意地とプライドをぶつけ合う試合に。

 
阪急はウィリアムス・藤田のホームランが飛び出し、山田も粘りの投球で、2-0と優位に試合を進める。

 
しかし6回表に満塁のピンチを迎えると、西武3番秋山にセンターへの3塁打を浴びて逆転を許す。

 
山田は結局、6回3失点で無念の降板。その後、この年に彗星のごとく現れた救世主、山内(嘉)がリリーフ登板し力投するも、8表に石毛にソロを浴び2-4と不利な状況のまま9回裏へ・・・。

 
【9回裏、阪急の底力】
相手は完投目前の東尾。しかし、「エース対決で山田に黒星を付けるわけにはいかない」。そんな空気も後押ししてか阪急怒涛の攻撃が始まる。

 
先頭打者は石嶺。本来は4番を務めるはずがこの頃は不調続きで6番に降格。そんな状況で意地のヒットを放つ。

 
1死後、中嶋(2013年まで現役を続けた最後の阪急戦士)との併用で、徐々に正捕手と言える立場ではなくなっていた藤田も続く。

 
ここで代打に熊野。先の二人と同様、前年までの活躍から一転、この年は不調と故障に泣かされて控えに甘んじていた。しかし西武戦に強かった熊野の登場に、球場には大きな期待が膨らむ。応援歌も通常の熊野のテーマでは無く早稲田のマーチで演出。

 
この熊野の代打登場は、遊撃を守る弓岡・山越がともに不在となる総力戦を意味していた。

 
「西武キラー」「ミスター3ラン」そんな熊野の異名が西武にとってプレッシャーとなったのか、東尾は熊野に死球を与える。それも往年の攻撃的な死球ではなく失投に近い死球である。

   
東尾が崩れはじめているのは明白だった。そこで次打者・左のウィリアムズに対し左腕の小田が登板(ちなみに80年後半の西武は黄金時代にも関わらず守護神は90年の鹿取・潮崎まで不在)。


対する88年のみ阪急に所属したダラス・ウィリアムズは打率.242、本塁打10本という寂しい成績で一年限りで日本球界を去ったが、この日はホームランも出て絶好調。

 
左対左を全く苦にせず、レフト前にクリーンヒットを放つ。3塁ランナーが返り1点返し、2塁ランナー代走福原もホームを狙いかけるが、レフト吉竹の好返球と三塁を蹴ったあたりでやや足がもつれたこともあり、自重。満塁が続く。

 
ここで迎えるは、88年から背番号1を付け、この7月30日時点で首位打者を走る福良。25年後にバルディリスを指導する実績づくりには絶好のチャンス。投手は小田から山根に継投。福良自身「一死満塁で併殺にならないようフライを打ちにいった」と振り返る。

 
同級生の石嶺のバットを借りて入った打席。放った打球は高く上がりそのまま左翼フェンスを越えていく・・・。


漫画ではない、「逆転サヨナラ満塁ホームラン」だ!これでは負けようがない。チームが波に乗れない中、王者阪急の底力を示すのに十分な一発でもあり、くしくもこれが阪急ユニフォームで最後のサヨナラ勝ちでもあった。

 
やっぱり満塁ホームランもサヨナラだと格別だ・・・と思ったところで一人、
 
「俺の時に打たんかい」
 
エース山田の一言だった。ごもっともです。

 
劇的な試合も最高ですが、やはり試合は先発投手にきちんと勝ち星がつくのがハッピーであるということでしょうか。

(K.G)

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