阪急ブレーブス通信

〜阪急ファンで行こう!EVOLUTION〜

球界随一の投手コーチとなった佐藤義則の凄すぎる完投劇

 
以前に比べて完投が減り、細かい継投が増えてきた最近のプロ野球。先発投手が100球を超えたあたりから「そろそろ交代か」と思うのが当然のようになってきました。
 

実際に昭和と平成のプロ野球を比較すると、完投率は昭和の34%に対し、平成では12%にまで下がったそうです。この傾向は令和以降さらに強まりそうですね。


そんな現在のプロ野球界にあって、球界一の名投手コーチとも言われる我らが勇者OB佐藤義則氏が、現役時代の1993年、今では考えられない、とんでもない完投劇を見せました。
 

 
【1993年5月11日 西武×オリックス(西武球場)】
チームは91年、92年と前半戦で大きくつまずいたが、この年はここまで5割前後で推移。投手陣も年々整備され、中継ぎ陣も厚みを増しだしてきていた。
 

 
この投手陣を整備したのが、当時の米田投手コーチ。そのトレーニングはいささか前時代的で、とにかく多くの球数を投げ込ませる指導法。しかしこれによりオリックス投手陣は軒並み成績を伸ばしていくことに。この指導は、当時たびたびニュースとしてとりあげられました。
 

 
そんな状態で黄金期の西武と対戦。相手投手はエース工藤(現ホークス監督)。初回に1点を先制するも、辻(現ライオンズ監督)のホームランで追いつかれる。その後、両投手の投げ合いが続き1-1のまま9回裏を終了。ここで工藤はマウンドを鹿取に譲る。
 

 
一方の佐藤義は続投。10回、11回とこう着状態が続いたが、12回表、頼れる4番石嶺のホームランが出て勝ち越し!この年、鉄壁を誇ったライオンズリリーフ陣の一角、潮崎から放った価値ある一発であった。
※福良(前監督)も2安打と活躍
 

 
そして、12回裏も当然のように佐藤義がマウンドに登る。ストレートは衰えを知らず140km/h台を記録。見事な完投勝利、投球数はなんと圧巻の218球!この投球は、当時のプロ野球ニュースのトレメンダスプレーでも大きく取り上げられた。
 

 
更に佐藤はこの後も完封を含む4連勝を記録し、投げ過ぎの疲れなど微塵も感じさせない活躍を続けます。
 

 
球数や休養に関しては様々な議論がありますが、この佐藤義の記録は凄いの一言につきます。そして、その佐藤義が当時、38歳であったことをここに付け加えておきます。(あの40歳でのノーヒットノーランはこれからさらに二年後ということになります)
 

 
ウエイトトレーニングをしない、シーズン中でも徹底的に「走って」体をいじめ抜く、という阪急伝統の調整法を続けてきた佐藤義投手。一方で怪我を乗り越えた経験もあり、自分がどこまで投げられるのか、その調整についても持論をしっかりと持っていたのでしょう。
 

 
こうした経験と、それにより得た持論が、星野仙一氏をして「日本一の投手コーチ」とまで言わせた指導法に繋がっているんでしょうね。
 

 

 
酒仙投手としても知られた佐藤義投手、勝てば祝勝会、負ければ反省会として飲み屋に繰り出していたそうです(北新地を「第二の故郷」とまで言うくらいですから相当なもの)。
 

 
ただし、登板前日は一滴も飲まず、汗が出過ぎるのを抑えていたそうで、この辺りはさすがプロと感じます。
 

 
218球を投げきり、時の西武のエース工藤に投げ勝ったこの夜も、きっと豪快に酒宴が行われたと思います。みなさんもこんな夜を思い出して今夜は一献、いかがでしょうか。


(K.G)
 

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